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2025/08/22 21:06

江戸時代、正宗といえば名刀、名刀といえば正宗と言われるほど正宗大ブームが起きた。

 

諸大名はこぞって正宗を差し料にした時期があった。

 

そんな時、ある大名が江戸城中にて伊達政宗とすれ違った。

 

陸奥殿、腰の物はもちろん『正宗』ですよね。

 

突然の質問に政宗は何事も無かったように『もちろん、正宗よ』と答えた。

 

さすがは陸奥殿、伊達者ですなあと去って行った。

 

政宗は動揺を隠し屋敷にもどるや茂庭綱元に正宗を探せと命令。

 

慌てる綱元、江戸屋敷を探すや見つからず仙台へ急使を飛ばす。

 

『正宗』を探せ!

 

仙台城番をしていた成実はなんのこっちゃ。

 

今度は急に何を言い出したのだ?

 

城の中を探し正宗の太刀が見つけた成実。

 

すぐに綱元へ返事を返した。

 

あっという間に『正宗』の太刀は政宗の手元へ。

 

脇差は『正宗』と言った以上なければ嘘をついた事になる。

 

60万石の大名が正宗が無いのにあるって言ってしまった。

 

政宗は思い切って太刀を短く磨りあげ脇差に仕立て直してしまったのでした。

 

なんとも無茶をする伊達政宗。

 

家臣も困惑した事でしょう。

 

『正宗』は脇差が多く、現存する太刀は数少ないようです。

 

『正宗』の太刀があれば今頃仙台市博物館に展示されていたかもしれません。

 

なんて事をするんですか、伊達政宗殿。

 

後世の人まで困惑させる人ですね。

 

それにしても政宗にちょっかい出した大名とは誰の事なのでしょうか。

 

はっきりとした事はわかりませんが加藤嘉明、藤堂高虎、金森重頼、松平忠明あたりじゃないかとの噂です。

 

 

政宗はこの脇差に名前をつけた。

 

その名は『振り分け髪』

 

これは伊勢物語にある

 

『くらべ来し 振り分け髪も 肩過ぎぬ 君ならずして 誰かあぐべき』

 

現代に約すると

 

昔、あなたと比べあった髪も、肩を過ぎるほど長くなりました。

 

その髪を夫として結いあげてくれるのは、あなた以外に誰がいるでしょう。

 

という歌から取ったものだそうです。

 

 

この長かった名刀『正宗』を脇差にするとは、自分以外に誰が出来ようか。

 

という意味を込めた諧謔なのだそうです。

 

もともとこの歌は

 

『筒井筒 井筒にかけし まろが丈生いにけらしな 妹みざるまに』

 

という求婚の歌に対する返歌であった。

 

現代に約すると昔、並んで井戸の水で背丈を比べあった私の背も、あなたが顔を見せてくれない間にこんなに伸びました。

 

という意味だそうだ。

  

この歌をテーマにした能の舞台に『井筒』というのがあるそうで・・

 

政宗は能を好んでそこからの発想だったのかもしれない。

 

なんとも色っぽい、さすが伊達者、政宗といった所です。

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